整形外科なら医療法人 サカもみの木会 緑井整形外科(広島市安佐南区)

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膝関節KNEE JOINT

変形性膝関節症Osteoarthritis of the knee

骨と骨が動くところが関節ですが、骨同士が直接あたると痛いため、骨の表面は軟骨で覆われていて、軟骨同士がスムーズに動くことで関節を動かしています。 しかし軟骨には神経・血管が乏しいため、損傷を受けると血液供給による再生が起こらず、成人後は軟骨がすり減ってしまい、結果として骨同士がぶつかることによって痛みを生じたり、骨が変形したりすることを変形性関節症といいます。
特に膝は人体で最も大きな関節で、運動に中心的な役割を果たす(体重を支え、走ったり、跳んだりする)ため、軟骨が減りやすく、日本における症状のある変形性膝関節症の患者さんは約800万人と言われており、高血圧が900万人、糖尿病が270万人と比べても、いかに変形性膝関節症の患者さんが多いかわかります。 中高年、特に60歳以上の方の膝痛の原因としては最も多い病気です。
立ち上がりや歩き始めに痛みが強いのが特徴的で、階段を降りる動作でも痛みが強いため、時に「後ろ向きで階段を降りる」と言われる方もあります。正座や胡坐(あぐら)動作が困難となり、進行すると膝が十分に曲げ伸ばしできなくなり、下肢全体もO脚変形(時にX脚)変形となって、歩行も不自由になってきます。膝に水がたまって、膝を曲げたときの突っ張り感を自覚したり、膝の裏側に瘤のようなものができる、ベーカー嚢胞(のうほう)もしばしば合併します。

  • 画像正常
  • 画像変形性膝関節症

写真に示すようなO脚によって内側の軟骨がすり減る患者さんが90%で、反対 に外側の軟骨がすり減る患者さん(X脚)が10%と言われています。

症状

多くの患者さんがお困りになられている膝の痛みですが、変形性膝関節症の初期症状としては、以下の2つがあげられます。
1. 痛い時と痛くない時がある 痛みに応じた痛み止め(関節注射、飲み薬、湿布など)の使用
2. 立ち上がり時、歩き始めの疼痛(starting pain) 一旦動き始めると痛くなくなる
その後症状が進行してくれば
・歩行困難
・可動域制限(正座ができなくなる)
・関節水腫(膝に水が溜まる)
といった症状を認めます。

変形性膝関節症の保存療法

手術になる前に出来ることとして以下の3つが挙げられています。

  • 1.大腿四頭筋訓練

    軟骨は再生しないけれど、筋肉は鍛えられます。周囲の筋肉を鍛えることで関節にかかる負担を減らします。腰痛のある方が腹筋や背筋を鍛える様に、膝の悪い方は大腿四頭筋を鍛えます。
    具体的なトレーニング方法として、いずれも朝晩30回ずつ行われることが推奨されますが、3日坊主にならないよう、回数は問わないので、毎日続けられることが重要になります。

    • 画像【straight leg rising】
      膝を伸ばした状態で脚全体を10㎝くらい約3秒間持ち上げる
    • 画像【setting】
      膝の下に枕やタオルを敷いて約3秒間、下に押し付ける

    いずれも朝晩30回ずつ行われることが推奨されますが、3日坊主にならないよう、回数は問わないので、毎日続けられることが重要になります。

    大腿四頭筋...太ももの前にある4つの筋肉からなる筋肉で、体の中で最も強い、股関節・膝関節をまたぐ筋肉で、主に膝を伸ばす筋肉である。

  • 2.ヒアルロン酸製剤の関節腔内注射

    画像 ヒアルロン酸を直接関節内に注射することで、軟骨を保護し、潤滑機能を改善します(軟骨が再生するわけではありません)。
    *関節の袋(関節包)の中に薬剤を入れるので、注射する場所は痛いところではなく、お皿の骨(膝蓋 骨)の上縁外側からが一般的です。

  • 3.装具療法(外側楔状足底板)

    90%を占める内側型変形性膝関節症(O脚)を、外反(X脚)に矯正して、軟骨が残っている外側に体重をかけます。
    *膝自体にするサポーターは、骨や筋肉がサポーターに頼って痩せてしまう可能性があるため、限定的な使用をすすめております。

変形性膝関節症の手術療法

ここまでに説明した治療でも改善が得られず、日常生活に支障を来たす場合は手術の適応となります。手術としては、
1.関節鏡下デブリドマン
2.高位脛骨骨切り術
3.人工関節置換術(人工膝単顆置換術を含む)など
を行っておりますが、手術方法の選択については患者さんごとに背景や病期によって相談しながら決めさせていただきますので、膝の痛みでお困りの際は、手術適応の判断を含めて、一度当院への受診をおすすめさせていただきます。

膝の靭帯(じんたい)損傷(靭帯断裂)

膝の軽い靭帯損傷は捻挫として取り扱われ、一時的な薬物療法や、テーピングなどの外固定で治療することで、問題なく治癒することがほとんどですが、 靭帯の完全断裂にいたる場合には、適切な治療が行われないために膝の不安定性が残存し、将来変形性膝関節症に進行することもあるので注意が必要です。
最も頻度が高いのは、バスケットボールやサッカー、バレーボールなどのスポーツ活動中の靭帯損傷で、その他にもスキーや陸上競技など、あらゆるスポーツで発生しています。
また自転車運転中に転倒して足を着いた時など、スポーツ以外の場面でも、膝を強く捻ることで靭帯損傷が発生することもあります。
膝周囲にはたくさんの靭帯がありますが、主に治療の対象となるのは、内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)と外側側副靭帯 (がいそくそくふくじんたい)、前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)および後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)です。
外来での診察段階でほぼ診断は可能ですが、合併する骨折や半月板損傷、骨内の出血の有無を確認するためにもレントゲン検査やMRI検査を行うのが一般的です。
装具などでの治療が成功することもありますが、適応となる条件はかなり限られていますので、やはりスポーツ活動を継続するのであれば関節鏡(内視鏡)を用いた靭帯再建手術(じんたいさいけんしゅじゅつ)が推奨されます。

内側側副靭帯損傷(ないそくそくふくじんたいそんしょう)

この靭帯は膝の内側で大腿骨と脛骨との間の安定性に関与しているので、膝に強い外反力(外側に向かって膝を折るように働く力)が作用することで損傷にいたります。
膝の内側に強い痛みを感じ、時に歩行が困難なほどになります。靭帯損傷部分の出血が内出血となって関節内に貯留し、関節全体に強い腫れ(はれ)を生じるようになります。
痛みなどの症状はかなり強いことが多い半面、単独損傷であれば予後は良好で、装具やギプスなどの適切な固定を行えば、スポーツ復帰も可能となることがほとんどですが、 前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)などの他の靭帯損傷や半月板損傷を合併することもあるので、治療開始前には正確な診断が必要となります。

外側側副靭帯損傷(がいそくそくふくじんたいそんしょう)(後外側支持機構損傷)

膝の外側はこの外側側副靭帯のほかに、複数の靭帯や腱などが共同で安定性を担っており、これらを総称して後外側支持機構(こうがいそくしじきこう)または後外側複合体と呼ばれています。
この部の損傷は比較的まれですが、やはりスポーツや交通事故などで損傷することもあり、膝の著しい不安定性を生じる場合には靭帯の修復手術を要します。

前十字靭帯損傷

前十字靭帯は膝関節内のほぼ中央に位置しており、大腿骨の後方から脛骨の前方に付着して、主に膝の前後方向への安定性を制御しています。
スポーツなどで、軽いジャンプから着地する時に膝を捻ることで、この靭帯を損傷することが多いようです。痛みが強く、しばしばプレーの続行が困難になります。
膝は内出血のために腫れて、急に膝の力が抜ける「膝くずれ現象」が見られることもあります。
当初は強い症状が見られても、数週間経つと痛みが消失し、膝の曲げ伸ばしにも不自由がなくなって、「治った」と感じることもしばしばですが、この点は注意が必要です。
前十字靭帯は装具などの適切な治療を行えば、手術を行わなくても治ることもありますが、無治療で自然に治癒することは極めてまれで、一見治ったような状況になっても、スポーツを再開すると膝くずれや膝が抜けたような感覚、膝の腫れ、痛みが再発します。
それでもしばらく安静にしていればまた症状が落ち着いて、日常生活にもほとんど支障をきたさないために、やはり治ったのではないかと誤解してしまいます。
このようなことを繰り返すうちに、半月板などの関節内構造物が傷んで、ついには変形性膝関節症を発症してしまう危険もありますので、軽い捻挫などと誤解して放置することなく、適切な診断と治療を受けることがとても重要です。

診断と治療

外来での診察段階でほぼ診断は可能ですが、合併する骨折や半月板損傷、骨内の出血の有無を確認するためにもレントゲン検査やMRI検査を行うのが一般的です。
装具などでの治療が成功することもありますが、適応となる条件はかなり限られていますので、やはりスポーツ活動を継続するのであれば関節鏡(内視鏡)を用いた靭帯再建手術(じんたいさいけんしゅじゅつ)が推奨されます。

後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)損傷

この靭帯は膝を横方向から見た時、前十字靭帯とちょうど十文字をなすように、大腿骨前方から脛骨後方に向かって付着する靭帯で、やはり主に膝の前後方向への安定性に関与する靭帯です。
人の身体の中では最も太い靭帯ですから、この靭帯の損傷の頻度はそれほど多くありませんが、スポーツ活動中のほか、交通事故などで、膝の少し下あたりに前から後ろに向かって強い力が働いた時に後十字靭帯損傷が発生することがあります。
受傷直後には強い痛みがあり、特に膝の裏側に痛みや皮下出血が見られますが、前十字靭帯同様に、数週間ののちには痛みは落ち着いて、日常生活動作にあまり不自由を感じなくなることが多いようです。
症状がなくなっても靭帯が治癒しているわけではないのですが、前十字靭帯と異なり、この靭帯損傷では、日常生活だけでなくスポーツへの復帰も可能となることが少なくないので、手術で靭帯を再建する割合は比較的少ないとされています。
それでも膝の不安定性のために階段昇降が苦痛になる、あるいはスポーツの継続が困難となるなどの支障があれば、やはり関節鏡を用いた靭帯再建手術(じんたいさいけんしゅじゅつ)を行います。

膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)

膝蓋骨(いわゆる膝の皿)が完全に膝の外側に落ち込んだ状態を膝蓋骨脱臼(だっきゅう)と言い、完全に落ち込まないで、その途中までずれた状態を膝蓋骨亜脱臼(あだっきゅう)と呼んでいます。
先天的に骨の形態異常があって、膝蓋骨が不安定な人も多く、これらの人は軽微なきっかけで膝蓋骨が亜脱臼または脱臼します。
また先天的な問題のない人でも、膝蓋骨の内側から外側に強い外力を受けると脱臼を生じることがあります。
膝蓋骨が脱臼するとそのまま膝を伸ばすことが困難となって、歩行も不可能なため、救急車で来院される方も少なくありません。

診断と治療

病院に来られれば診断は容易ですので、膝蓋骨を正常な位置に戻すことで、痛みはかなり楽になって、すぐに膝の曲げ伸ばしも可能になります。
但し、一度膝蓋骨脱臼を生じると、治癒したあとで再発を繰り返すことがあるので注意が必要です。
初回の脱臼の場合で、先天的な骨の形態異常などがない場合は、ギプス固定などの適切な固定を一定期間行い、その後装具(膝蓋骨用サポーター)やテーピングで治療すれば再発をかなり減らすことが可能です。
一方、骨折を合併している場合や、先天的要因で膝蓋骨の不安定性がある場合、亜脱臼や脱臼の再発を繰り返す場合などには手術を検討することになります。
骨折を合併した場合は骨の欠片(かけら)を元の位置にもどして固定する手術を行いますが、膝蓋骨の不安定性を治療するためには、膝蓋骨の内側にある靭帯(内側膝蓋大腿靭帯(ないそくしつがいだいたいじんたい))を再建する手術を行う必要があります。
さらにもともとの骨の形態異常などが著しいと診断された場合には、骨の矯正手術を行って、膝蓋骨の亜脱臼や脱臼を防止しなければならないこともあります。

半月板(はんげつばん)損傷

半月板は膝関節の中で大腿骨と脛骨の間にあって、膝のクッションの役割を果たす重要な軟骨で、膝の内側と外側とに見られます。
全体が三日月のような形態をしているため、半月板と名づけられ、形態的な特徴から膝の前後左右への安定性にも関与しています。
半月板損傷は膝のトラブルの中ではかなり頻度が高く、様々な原因で損傷しますが、若い方では主にスポーツ活動中に、体重がかかった状態で膝を捻ることで損傷を生じ、一方高齢者では加齢に伴って徐々に半月板が傷んでくる場合が多いようです。
半月板損傷を生じると、膝の曲げ伸ばしで痛みを感じるようになり、しばしば関節に水がたまった状態となって、特に階段昇降やしゃがみこみ動作が困難になります。
また断裂した半月板の一部が関節内で引っ掛かると、膝の中で何かが引っ掛かったような感覚が自覚され、膝が抜けたような感覚や、著しい場合は引っ掛かりのために膝の曲げ伸ばしができなくなる(ロッキング)こともあります。

診断と治療

半月板損傷はその頻度が多い割に、診断は必ずしも容易ではありません。
損傷部位を外から圧迫すると痛みが誘発される(圧痛)所見や膝を捻りながら屈伸することで痛みやクリックが誘発される所見 (McMurray徴候)などが診断には有用な所見ですが、確実な診断にはMRIが必要です。
残念ながら、一度損傷した半月板は、自然にもとの状態に治癒することはほとんど期待できません。前十字靭帯損傷に合併する半 月板断裂など、一部に自然治癒を見ることはありますが、やはり断裂部を治癒させるのには、関節鏡を使用した半月板縫合手術が必要となります。
但し、半月板はもともと血管分布に偏りがあるなど、他の組織に比べて治癒能力が高くないので、せっかく縫合しても治癒するとは限りません。
そこで仕方なく関節鏡下に半月板損傷部の部分切除(半月板切除手術)を行って、関節内の引っ掛かりを解消することもあります。
生まれつき半月板が大きい、円板状(えんばんじょう)半月板では、その厚みも増しているため、半月板損傷を生じやすいと考えられます。
この場合は半月板の縫合や部分切除だけでなく、半月板全体の形の正常に近い形にする、半月板形成手術を行うことがあります。

膝のスポーツ障害

スポーツ活動中の繰り返しのストレスによって、膝の周囲に炎症や循環障害、組織の微細な損傷などを生じて痛みを感じるようになる状態をスポーツ障害と呼び、これは靭帯断裂や半月板損傷など、一時的な強い外力で組織損傷を生じるスポーツ外傷と区別しています。
ほとんどのスポーツでは走る、横方向にステップする、ジャンプするといった、下肢を使った動作が不可欠であるため、あらゆるスポーツで膝の障害が発生します。
いずれのスポーツ障害であっても、予防や治療のためには、活動前の適切で十分なストレッチやウォーミングアップはもちろん、活動後のクールダウンやストレッチもとても大切です。
スポーツ障害が発生した場合、スポーツ活動の中止によって症状が軽減し、治癒を得ることが期待できることも少なくありませんが、安易なスポーツの中止は選手のモチベーション低下につながり、スポーツ復帰がかえって難しくなることもありますので、障害の状態を正確に把握して、スポーツの中断をできる限り少なくする方法を検討することも重要な治療の一環と考えています。

Osgood-Schlatter(オスグッド・シュラッター)病

この病気では、膝の前側で膝蓋骨のやや下あたりに大きな骨の膨らみを触れるようになり、同部に運動時の痛みを感じます。サッカーや剣道など、膝を強く伸ばす動作を多く行うスポーツを続けている男児によく発生します。
骨が膨らんで飛び出たようになった部分を脛骨粗面(けいこつそめん)と呼び、この部に症状が限局し、レントゲンでこの脛骨粗面に異常所見が見られると、診断が確定します。
症状が軽い場合は、ストレッチや装具療法を行い、スポーツを継続しながら治療することもできますが、なかなか症状が治まらない場合や、症状が強い場合は、仕方なくスポーツを中止し、安静にすることになります。

ジャンパー膝

膝蓋骨と脛骨粗面(けいこつそめん)(膝前面で膝蓋骨のやや下にある骨が膨らんだ部分)との間にある膝蓋腱(しつがいけん)と呼ばれる腱、またはその周囲の炎症によって痛みを生じる障害です。
バレーボールやバスケットボールなど、ジャンプを多く行う競技で高頻度に発生することからこの病名で呼ばれるようになりました。
同じような膝のスポーツ障害にSinding-Larsen-Johansson(シンディン・ラーセン・ヨハンソン)病と呼ばれる障害があります。
これは膝 蓋骨の上側部分に痛みを生じ、やはりジャンプ競技など、膝を強く伸ばす競技を続けることで発生しやすいようです。
いずれの場合も治療はやはりストレッチやスポーツ活動後のアイシングなどが主ですが、なかなか症状が改善しない時には炎症を抑える薬(ステロイド剤)を局所注射することもあります。
また先天的に膝蓋骨が分裂した「分裂膝蓋骨」においても、スポーツがきっかけで痛みを感じるようになることがあります。この場合もジャンパー膝同様にストレッチなどによる治療を行いますが、症状が強くてスポーツの継続が困難な場合には、手術療法が選択されることもあります。

ランナー膝

ランニングによって生じる膝周囲の痛みをランナー膝と呼びますが、主に膝蓋骨の異常を起こす膝蓋軟骨軟化症(しつがいなんこつなんかしょう)と腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)とが含まれます。
膝蓋軟骨軟化症では、運動時の他に階段の昇降時に膝蓋骨周囲に痛みを感じ、体重をかけた状態で膝を曲げ伸ばしすると、痛みとともに異常音を生じることもあります。
局所の安静と適切な筋力訓練やストレッチ、膝蓋骨装具の使用で症状が軽減する場合がほとんどですが、重症例では手術が必要になることもあります。
腸脛靭帯は大腿から膝の外側を通る膜状の靭帯で、長距離のランニングやウォーキングでこの靭帯が炎症を起こすと、膝の外側に痛みを感じるようになります。
一時ランニングを中止しなければならないこともありますが、ほとんどはストレッチや運動後のアイシングなどで治癒し、手術を必要とすることはまれです。

鵞足炎(がそくえん)

膝の内側に痛みを生じる病気としては、内側半月板損傷や変形性関節症が頻度の高い疾患ですが、それ以外にも、いくつかの腱が脛骨と接する部分に炎症が起こって、膝内側に痛みを生じることがあります。
膝を曲げるために働く腱のうち、脛骨の前内側に付着している複数の腱を総称して鵞足(がそく)と呼び、陸上などのスポーツによって炎症を生じ、痛みの原因となります。
鵞足部分に圧痛を認めることが多く、時にこの部の腫れに気づくこともあります。
基本的な治療としては、ストレッチなど他のスポーツ障害における治療と同様ですが、症状が強く治療の効果がなかなか得られない場合には、ステロイドの局所注射が行われることもあります。